前回は巨大なダンゴムシ「ダイオウグソクムシ」をみましたね。あまりの大きさに驚いたのではないでしょうか。オオグソクムシの鯖を食べる動画は一見の価値がありましたね。食事中には見たくないですが・・・。
さて、今回は海底の熱水噴出孔にたどり着いたようです。この周りには多くのその生命体が集う場所なので珍しい生き物が見られるかもしれません。どうやら今回は、体の一部に鉄を使った生物を見つけることができそうです。どんな生物なのか楽しみですね。それでは探検に出かけましょう。
博士:前回のダイオウグソクムシはどうたったかな?助手ちゃんの顔より大きかったね。
助手:オームみたいやった。風の谷の~ナウ~シカ~♪
博士:う、歌った・・・。
助手:あっ。みて!海底に黒い煙が昇っとる。
博士:あっ!すごい!ブラックスモーカーだ。
博士:ブラックスモーカーは海底でほぼ300℃以上の高温の熱水が噴き出す「熱水噴出孔」の一種で、熱水に鉛・亜鉛・銅・鉄などの硫化物が多く含まれ、海水と反応して黒色になるものを言うんだ。
通常の生物にとっては有害な物質なんだけど太陽が届かず食べ物も少ない深海底では、噴出する液体中に溶けたこういった化学物質を目当てにした多様な生物が集まるオアシスのようなところでもあるんだ。だから、この周りにはいろんな生物が集まっているんだよ。
助手:深海にもそんなスポットがあったのねぇ。
博士:もちろんブラックスモーカーの温度は300℃にも達するから直接当たると生き物は耐えられないけど、周りの海水はとても冷たいくて数メートル離れれば50℃以下になるから、耐えられる程度の距離を保って生き物が集まっているんだ。ほら、黒い貝が転がっているのが見えるかい?あれは深海のアイドル「スケーリーフット」だ。
スケーリーフットは鉄の鱗(うろこ)を持つ貝
(画像引用元:北海道大学 リリース,深海の奇妙な巻貝・スケーリーフットの大群集を発見)
博士:スケーリーフットは大きさが4~5cm程度の巻貝の仲間なんだ。水深2500メートルの深海底のこういった「熱水噴出孔」に生息しているんだ。本当の名前は「ウロコフネタマガイ」というんだけれど、足の表面にうろこをもつことが特徴でその様から俗に、「うろこのある足」という意味の「スケーリーフット」と呼ばれているんだ。
見かけはただの黒い貝なんだけど、実はすごい秘密が隠されているんだ。なんとこの黒いうろこは硫化鉄でできているんだ。
助手:ほほう。それってすごいの?
博士:生物で体の構成成分として硫化鉄を使っているのはこのスケーリーフットが初めてなんだ。普通の巻貝は他の生物に襲われたときに蓋を閉めて防御するけどスケーリーフットは蓋を持っていない。その代わりに、硫化鉄の鱗で覆われたこの足を縮めて防御するんだ。ちなみに磁石にも反応するみたいだよ。
助手:黒いのは鉄なのね。かっこよか。
博士:ちなみに他の生息域に白いスケーリーフットが発見されているんだ。この白いスケーリーフットはその色からもわかるように硫化鉄をまとっていないんだ。貝殻は茶色でうろこは白くなっているんだ。
(画像引用元:独立行政法人海洋研究開発機構プレスリリース)
博士:動画もあるけどあまり動かないのがちょっと残念だね。黒のスケーリーフットはあだ名を「黒スケ」、白いスケーリーフットは「白スケ」と呼ばれ深海のアイドルと親しまれているよ。
スケーリーフットの動画
「黒いスケーリーフット」の動画
「白いスケーリーフット」の発見の瞬間の動画
⇒深海の旅を続ける(次の記事へ):ものを食べない、口も腸も肛門も持たない動物「チューブワーム」。太陽がなくても生きていける?他の惑星にもこんな生物がいる可能性も。
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